いよいよ9月23日(金)からダイナースクラブ フランス レストランウィーク2022がスタート!南仏のメニューを取り入れたお店が多数参加していますよ。ご予約がまだの方は、お近くの参加レストランを公式サイトでチェックしてくださいね。スペシャルサポータージャン・メデシンさんのストーリーも最終回です。今年の秋は、フランス レストランウィーク2022で南仏旅行の気分を楽しんで!

※本コンテンツは、ダイナースクラブ フランス レストランウィーク2022イベント終了までの限定公開となります。

Jean Médecin ジャン・メデシン

1971年フランス パリ生まれ。父はオペラビジネスの実業家、母はオペラ歌手。南仏ニースのジャン・メデゥサン通りはかつて同市長であった祖父の名に由来。叔父ジャック・メデゥサン氏は料理本を執筆し世界的ベストセラー。食文化や料理を愛する過程環境に育ち、幼少期よりたびたび家族とともにニース料理に親しむ。金融ビジネスを手掛けるかたわら料理本を執筆。

インスタグラム
@nice_medecin

私の選ぶニース伯爵領の料理

南フランスの高級リゾート地ニース。地中海に面し1年を通して温暖な気候のニースは、長らくイタリア文化の接点もあり、建物や食文化についても影響を受けている部分があります。著者が15年前、日本を訪れたとき日本は、フランスとは全く異なる固有の文化を持っていながら、美意識やガストロノミーの面で大変フランスに近いアプローチをしていて、その魅力に強く引きつけられたのです。日本の各地方を旅行すると、そのたびに郷土料理を発見することができました。また、フランスも各地方に固有の優れた食材・料理が存在します。そういう意味で、ニース料理に関する本を書いて、そのルーツやその特性伝えたい思いで、実用的なものにしたいと考えました。
レシピ数は意図的に厳選し、季節によって区分しておりどこから手をつければよいかが分かるようになっています。

著者が12ヵ月分を厳選した料理を紹介。月ごとに文化・歴史を著者の体験・経験や執筆者目線で食文化等についてふれており本文は、材料、作り方、memoの形で、料理についてアドバイス・意見的にワンポイントを入れ、絵で材料を紹介している。

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時間の問題
Une question de temps!
Du temps et des produits. Visite à l’Elysée...

食品加工業の近年の技術の進歩には目覚ましいものがあり、大量の製品を安価に生産することに成功 し、その後は品質の向上に重点を置いていますが、料理を手作りするには時間が必要だというのは、いつ の時代も変わりありません。カット野菜を使うようなちょっとした「こつ」で、調理時間が短縮されますが、 時間への投資はやはり大事なのです。私は個人的には、時間をかけることは肯定的なことだと思っていま す。毎食ごちそうを食べなければならないという義務はどこにもありませんが、夕食に招いて料理に手間を かけてもてなすのが招待客に対する敬意の証しとなる場合があると思うのです。料理することに少しでも喜 びを見出すのであれば、キッチンで過ごす時間は楽しくもあります。作って楽しい料理を作ることで自分が 楽しみ、お客に食べてもらい喜んでもらうこと、この二つで、料理というものは成り立っているのです。

というわけで、今月ご紹介するのは準備に時間がかかり、自分が気に入っている人だけにとっておくべ き料理、ニース風野菜の詰め物のオーブン焼きです。詰め物の基本はほとんど一緒ですが、野菜ごとに詰め物を変えています。今日、野菜別に詰め物を作る手間をとるレストランなどほとんどありません。 しかしそうすることで、料理に特別で繊細な味を作り出すことができるのです。

すべての詰め物を作れない場合があると思いますが、一つは、材料に足りないものがあるときです。特に、ズッキーニの詰め物にはニースの丸いズッキーニを使います。ニースのズッキーニは、薄い緑色と 繊細でとろりと柔らかい身でほかのズッキーニと異なります。この品種が手に入らないのでしたら、この 料理は作らないことをお勧めします。ほかの品種は、作っても結果に満足できないおそれがあるからです。 残念なことに、いやむしろ家庭料理を守っていくという意味では幸いにも、おいしさを十分に引き出すの は、時間や素材以外にはないのです。 作るのに大変時間がかかっても、味わう時間はごく短いものです。

うちの家系は皆、食べるのが早い のですが、それは長く続いた政治家の家系のせいかもしれません。市民と話もしないといけませんし、 かといって食べ物を口に入れたまましゃべるわけにはいかないからです。この点については、父が何度も 話していた、エリゼ宮で大統領と昼食をとったときのエピソードがあります。「私がナイフとフォークを皿 の両側に置いたら、ちょっと休んで、同じようにすること。こうすれば、ほかの招待客のペースと同じに なるから」こうして、ほかの人が追いつこうと食べている間に沈黙が生まれ、私の家族はそれをうまく利 用して発言できたにちがいありません。

メデシンさんが教えるニース旅行のティップス♪

時間に余裕があり建築に興味がある方は、ラスカリ宮殿を訪れてください。ニースに隣接するイタリアの町ジェノヴァの典型的な儀式用階段を見ることができますよ。非常にカラフルで素晴らしい壁画や天井画があり、工芸品もたくさんあります。旧市街の小さな通りを歩きながら、頭を上げたり、ドアを押して建物の庭の裏側を確認したりしてみてくださいね。

焙煎コーヒーなど「産業」の多くは廃れてしまいましたが、行き先を決めたくない場合は、サン フランソワ・ド・ポール通りにあるオリーブオイルメーカーのアルジアリの店舗に行ってください。彼らは確立されたヴィンテージの味を守っており、ワークショップも開催しています(事前予約が必要)。最後に老舗の Auer* を訪れて、砂糖漬けの果物を購入しましょう。これは気軽に日本へも持ち帰ることができるニースの特産品で、おすすめのオミヤゲです。

*Maison Auer (メゾン・オエール):砂糖菓子の老舗。歴史を感じる伝統的な店構えも特徴的

南フランスの伝統メニューを食べ比べ♪