2022年参加店舗が提供するコースの共通テーマは「南フランス」。ダイナースクラブ フランス レストランウィークでは、2022年から新たにフランス国内の魅力的なエリアひとつに焦点を当てて毎年ご紹介していきます!いま日本でもご当地メニューが大人気ですが、フランスのご当地メニューにも同じように触れていただきたい!という想いでスタート。南仏のメニューからも参加レストランが検索いただけますのでお楽しみに!さらに・・・前ニース市長のお孫さんであるジャン・メデシンさんをスペシャルサポーターにお迎えし、ご自身の著書から南仏料理にまつわるストーリーと、ニース旅行のティップスを紹介いただきますよ!
※本コンテンツは、ダイナースクラブ フランス レストランウィーク2022イベント終了までの限定公開となります。
Jean Médecin ジャン・メデシン
1971年フランス パリ生まれ。父はオペラビジネスの実業家、母はオペラ歌手。南仏ニースのジャン・メデゥサン通りはかつて同市長であった祖父の名に由来。叔父ジャック・メデゥサン氏は料理本を執筆し世界的ベストセラー。食文化や料理を愛する過程環境に育ち、幼少期よりたびたび家族とともにニース料理に親しむ。金融ビジネスを手掛けるかたわら料理本を執筆。
インスタグラム
@nice_medecin
私の選ぶニース伯爵領の料理
南フランスの高級リゾート地ニース。地中海に面し1年を通して温暖な気候のニースは、長らくイタリア文化の接点もあり、建物や食文化についても影響を受けている部分があります。著者が15年前、日本を訪れたとき日本は、フランスとは全く異なる固有の文化を持っていながら、美意識やガストロノミーの面で大変フランスに近いアプローチをしていて、その魅力に強く引きつけられたのです。日本の各地方を旅行すると、そのたびに郷土料理を発見することができました。また、フランスも各地方に固有の優れた食材・料理が存在します。そういう意味で、ニース料理に関する本を書いて、そのルーツやその特性伝えたい思いで、実用的なものにしたいと考えました。
レシピ数は意図的に厳選し、季節によって区分しておりどこから手をつければよいかが分かるようになっています。
著者が12ヵ月分を厳選した料理を紹介。月ごとに文化・歴史を著者の体験・経験や執筆者目線で食文化等についてふれており本文は、材料、作り方、memoの形で、料理についてアドバイス・意見的にワンポイントを入れ、絵で材料を紹介している。
本物のニース料理を探求!
En quête d’authenticité !
Le massacre de la salade niçoise et de la ratatouille…
フランス人はすぐになんでも文句を言うという評判がありますが、私も今月はフランス人らしく、世界中で多くの料理人たちがわざと、あるいはそのつもりはなくともニース料理を滅茶苦茶にしていることに文句を言います!
ニース風サラダ「ラ・サラダ・ニサラルダ」を今月の最初のレシピとして選んだのはそういうわけです。この純粋で新鮮なサラダは大きな罪の犠牲となっています。本物のニース風サラダには、ゆで卵以外は新鮮なトマトを主とする生野菜しか入っておらず、味付けはオリーブオイルのみでビネガーは使いません。多くのレストランがさやいんげんやポテトなどの茹でた野菜が入ったサラダをニース風サラダと称して出していますが、これはすしにマヨネーズを入れるのと同じくらいの冒とくな行為…。こんなふうに茹で野菜を入れたサラダを新しいニース風サラダとして出しているレストランもいますが、それはもうニース風サラダとは呼べません!
ニース風サラダにどの魚を入れるかどうか考えるのは大目に見ることができます。歴史的に説明しますと、ツナ(まぐろ)は昔は値段の高い魚だったので食卓に上る機会はまれでした。その代わりに、ツナより買い求めやすい値段アンチョビーがよく登場しました。このように歴史を振り返ると、ニースの人々がツナとアンチョビーを一緒にサラダに入れない理由、そして、ツナかアンチョビーのどちらかを入れてもニース風サラダの味とスピリットを損なうことはない理由が分かります。
ニース地方で最も有名で人気のあるもう一つの料理、ニース風ラタテゥーユ(ラ・ラタトゥイア・ニサルダ)。
ニースのアンジェ湾岸から広まったこの料理は今では世界中のレストランで人気となり、メニューにもその名をつらねています。しかし、多くのレストランでラタトゥーユと名付けられている料理は野菜を煮過ぎて柔らかくなりすぎているか、あるいは十分に煮込まれていないかのどちらかで、野菜が溶けたペースト状だったり、硬すぎる野菜が入っていたりすることもあるような均一感のない野菜の煮込みと化しています。
一般に信じられているのとは違い、ラタトゥーユは実は調理するのにとても時間がかかる料理なのです。どの野菜も均一に火が通るように、野菜はそれぞれ別々に調理するのが正しい方法です。私が子供のころ、ラタトゥーユは両親や叔父、叔母が長い時間をかけてつくる特別な一品で、毎日食卓に出るような料理ではありませんでした。それでも、ラタトゥーユは冷蔵庫に入れると数日間保存できる料理だと言えば料理の初心者でも作る勇気が湧くのではないでしょうか。
メデシンさんが教えるニース旅行のティップス♪
ニースへの旅行は、旧市街の訪問から始める必要があります。かつては町の中でもあまり注目されていなかった場所が、今ではたくさんのショップやレストランがある活気に満ちた一角になっています。車では入ることができない、町の地中海文化に浸るのに最適なエリアです。
まずは、壮大なフラワーマーケットがあるクールサレヤ市場に沿って散歩してください。地元産の野菜に注目すると、甘みとコクのある淡い緑色のズッキーニが目に入るかもしれません。「ズッキーニ」はニース料理にも最適です。お腹が空いたら、シェ テレサ*の屋台に立ち寄って、厚手のクレープのように見えるひよこ豆で作ったニースの素晴らしい名物「ソッカ」を食べましょう。
*Chez Theresa(シェ テレサ):1920 年代から続く、ニースで最も有名と言われるソッカの屋台