ダイナースクラブ フランスレストランウィーク 2017

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今、話題の“日本フレンチ”に行こう!(連載)/大阪【アニエルドール】

記事元:ヒトサラMAGAZINE

今アツいフレンチシェフに迫る連載。第5回目は、リヨンでシェフも務めた藤田晃成氏の飽くなき探求心から生まれる少量多皿のコースで魅せる大阪の人気レストラン【アニエルドール】。世界のゲストも視野にいれてこの春リニューアルオープンした、今目が離せない一軒だ。

CHEF'S EYE

✔クラシックな料理をベースにオリジナリティを出す
✔同じ素材が形を変えて一皿の上に
✔ここだけにしかない特別なものを目指して

クラシックな調理法をベースに、自分だけの一皿を目指す

シェフの藤田晃成氏

 大阪あべの辻調理師専門学校で本場のフランス料理を知り、その奥深さに魅了された藤田晃成氏。卒業後、数店の大阪のフレンチレストランで研修し、神戸【アノニム】の加古拓央シェフに師事する。その後、フランスに渡り、ノルマンディー、バスク、リヨンと地方を中心に約4年半研修を積んだ。リヨンではネオビストロ【アルカンジュ】にて、日本人としては異例のオープニングシェフを務めるなど、現地でもその才能が認められる。2013年に帰国し、大阪で【アニエルドール】を開店。

「パリよりも面白いものが得られるのではないかと、ノルマンディーから修業をはじめ、当時ほとんど日本人が行かなかったフレンチバスク地方に行きました。そしてリヨンに移り、MOF(国家最優秀職人賞)に輝くジョセフ ヴィオラ氏の元で学び、次にジビエ料理で名高い【マガリ・エ・マルタン】へ。モダンフレンチが流行る一方で、リヨンではクラシックな料理法が根強く残っていることを知りました」。

鮎のソースをあしらった『本日の鮮魚 鮎 オクラ 胡瓜』

 そして最後の一年半、ネオビストロ【アルカンジュ】がオープンするときにシェフとして抜擢され厨房に立つ。本場フランスで日本人シェフとして店を流行らせなければならない重責の中、フランス人からも認められる人気店に育てた。

「フランス人に認められたという自信と共に、自分のフレンチとは何かを見つめ直す機会に多く巡り合いました。そして、受け継がれてきた料理法やテクニック、クラシックフレンチの素晴らしいベースの元に成り立つ、自分だけのオリジナリティを持つことが大切だと気づかされたんです。それには何よりもまず、手間暇を惜しまずにベースとなるソースをきちんと作り上げることが大切。完璧なソースこそがフランス料理には欠かせないと思います」とシェフの藤田氏。

 帰国後、大阪の地で開いた【アニエルドール】。少量多皿のコースでありながら、その一皿一皿に印象的なソースづかいが見て取れる。上の料理は、土佐の金目鯛のポワレに、鮎のコンフィを丸ごとペーストにした苦みの強いソースが印象的な一皿。鮎の形をまるでなくし、すべてをソースにつぎ込む。鮎の風味がオクラやきゅうりと合わさり、金目鯛の味わいをふくよかにさせ、一気に夏の装いを感じさせるチャレンジ精神あふれる逸品だ。

同じ素材が形を変えて一皿の上に

『イカ 南瓜 ミモレット パッションフルーツ』を使った前菜

 印象的なソースと共に気付くのが、一皿の上に同じ素材のものが形を変えて様々な表情を見せてくれていることだ。例えばこのイカと南瓜を使った前菜。剣先烏賊の炙りに南瓜のムースを合わせ、鈴南瓜のサラダが覆う。別皿には南瓜の種の上にイカスミの最中。中には南瓜のピューレとイカスミのラグーを合わせた餡が詰められている。主な食材はイカと南瓜。それがいろいろな調理法で合わさり、口の中で混然一体となる。これこそが藤田氏の真骨頂だ。

「何を食べているのかをはっきりとわからせたいんです。例えば南瓜ひとつとっても生や茹でたり、焼いたり、そしてペーストにすることで味や香り、食感が全部異なってくる。それを楽しみつつも味にまとまりをもたせ、南瓜ってこんなにも様々な表情があっておいしいんだと思わせたいんです。だから、一皿には3、4種類の素材しかのせず、そのものの味をかみしめていただきたいです」。

近海産の新鮮なヒラメと、フランスから取り寄せた夏が旬のジロール茸

 ひとつの食材の持つポテンシャルを最大限引き出すために、様々な調理法で魅せてくれる藤田氏。その食材選びは国内外問わず多様だ。

「地産地消というけれど、地方のいいものは地方にはかなわない。むしろ、大阪という流通がいい地を武器にしようと考えました。旬のいいものは全国の産地を変えて、その時にいいものを取り寄せます。いいと思った素材は国内だけでなく海外からも。例えばフランスからはフレッシュなジロール茸やセップ茸、トリュフなどのキノコ類や、仔羊や子鳩、仔牛などを取り寄せています」。

仔牛節を使ったメインの一皿

 世界中から取り寄せたおいしい食材。それをダイレクト味わうだけでなく、様々な調理法で魅せてくれる。例えばステーキなどで出される仔牛。これを贅沢に、鰹節のように乾燥させることもある。

「仔牛節。すごく味が凝縮されるんです。今回は、仔牛を低温調理したユッケ風とリードヴォーのパテの上に、枝豆と豆の新芽のサラダと、最後に仔牛節をあしらいました。見た時の“これは何?”という疑問と共に、口に入れた時の仔牛の味の広がりを楽しんでいただきたい」と藤田氏。仔牛のほか、鶏や鴨、イノシシやシカの〇〇節を作って驚きと楽しさを与えている。

ここだけにしかない特別なレストランを目指して

それぞれのお皿につくペアリングワインのコースも素晴らしい

 ランチは約7皿、ディナーは約10皿と少量多皿で味わうコース。それに合わせるペアリングワインのコースもおもしろい。なんとこちらも10皿なら10種、少量ずつそれぞれの料理にペアリングされたワインがつく。途中で相談しながら日本酒を混ぜたりできるのも特徴的だ。追加でデザートペアリングもできる。5テーブルという小さい店ながらもここまでするのには、すべて料理を楽しんでもらいたいというシェフの気持ちに他ならない。

「【アニエルドール】という名前は全世界探してもここだけにしかないものにしました。13~15世紀に発行された貴重なフランスの金貨の名前で、ベースにクラシックさがあり、本質を大切にしたいとの思いを込めて名付けました。この思いに負けないよう、料理もここだけにしかない特別なものでもてなしたいです」。

 リニューアルし、海外からのゲストも視野に入れて大きく舵を切った【アニエルドール】。きっと唯一無二のレストランとして世界中から注目されるレストランになるはずだ。

アニエルドールの店舗詳細

藤田氏はフォーカスシェフとしてフランスレストランウィークに参加。国産のキノコや関西ならではの鱧を使った料理を提供する。「フランス料理のテクニックを使った、日本の食材の新たな一面を感じて楽しんでもらえたらと思います」。

提供元: ヒトサラマガジン[hitosara magazine]
外食シーンのホットなニュースが毎日読める、グルメサイト「ヒトサラ」が発信する食の情報マガジンです。
楠井祐介(フリーライター)

ーLe Magazineー
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